今大会のみどころ



攻撃力 6割打者、東西「恐怖の下位」

◇“東北旋風”にも期待

 32チーム中26チームが打率3割を超え、うち5チームが4割以上を記録する
など、今年も打力自慢のチームが顔をそろえた。

 トップは高知市・四国銀行で、4割3分8厘。予選2試合はいずれもクラブチー
ム相手だった。開幕戦で当たる長崎市・三菱重工長崎は、準優勝した前回本
大会で4試合連続の2ケタ安打を記録した重量打線に衰えが見えない。

 2位は4割2分7厘の大阪市・日本生命、3位には4割1分3厘の横浜市・日
石三菱と東西の優勝候補が続いた。共通しているのは下位にも高打率の打
者がいるため打線に切れ目がないこと。大阪市の捕手・鷲北剛はリードの進
歩とともに打撃も上昇。打率6割3分6厘は「恐怖の8番打者」と呼ぶにふさわ
しい。横浜市の9番・横川義生は肩を開かないフォームを身に着け、パンチ力
アップ。170センチながら打率6割1分5厘と駆け回った。横浜市は1試合平
均3盗塁、3犠打と手堅さと足も備える。

 仙台市・JTが4割6厘で4位、仁賀保町・TDKも3割9分で7位と東北勢の
健闘が光る。仙台市は全試合出場選手中3割以上が7人。主将の8番・瀬戸
博之がコースに逆らわない巧打でチームを引っ張った。仁賀保町は佐々木
弥、川本大らを中心にほしい時に一発が出る長打力に加え小技も利く。東北
旋風は十分期待できそうだ。

 初出場の札幌市・サンワード貿易は、4番の元ヤクルト・高梨利洋だけでな
く、5番に座った2年目の船間美彦が高梨を上回る4本塁打11打点と勝負強
さを発揮した。同じく初出場の浦添市・沖縄電力の主砲は神谷善治。昨年の
本大会では長崎市の補強選手として通算打率5割を記録した。

 神戸市・三菱重工神戸、大阪市・大阪ガスは重量打線の伝統を守った。神
戸市は8年目のベテラン、渡辺峰雄が長打率6割6分7厘の破壊力を示した。
大阪市は2度目の主将就任で責任感充実の主砲・沢多弘也が5本塁打、14
打点をたたき出し、核となった。千葉市・川崎製鉄千葉は新人スラッガーの久
保田智(東洋大)と佐藤毅明(日大)がシュアな打撃を披露した。

 パワー抜群の外国人選手からも目が離せない。調布市・シダックスのビクト
ル・ベヘラノは元キューバ代表で、来日間もないにもかかわらず、2本塁打、打
率3割8厘とうわさ通りの力を示した。鈴鹿市・本田技研鈴鹿は、豪州代表の
中軸打者で、予選では2割8分台と不振だったモイル・マイケルが復調すれ
ば、頂点を極めた第65回大会以来の快進撃も夢ではない。

 本塁打は川崎市・三菱自動車川崎が19本で最も多く、高根沢力と西沢祐
介が4本ずつを放っている。

 京都市・三菱自動車京都と横須賀市・日産自動車は機動力の充実を示す数
字が目立つ。【清水隆明】

……………………………………………………
◇代表32チームの打撃成績◇

        試合数 打数  安打 打率  打点 本塁打 犠打 盗塁
四国銀行    2    73 32.438 26  5   5  3
日本生命    3   103 44.427 30  3   4  3
日石三菱    4   126 52.413 49 11  12 12
JT      3   106 44.406 42  8   7  4
サンワード貿易 4   154 62.403 42 14   6  3
三菱重工神戸  3   106 42.396 33  7   6  6
TDK     7   218 85.390 73 11  19 15
大阪ガス    5   181 70.387 49 17  11  3
川崎製鉄千葉  3   100 38.380 28  4   7  1
本田技研鈴鹿  3   105 39.371 16  1   7  4
ヤマハ     3   100 37.370 31  7   7  9
王子製紙苫小牧 4   149 54.362 39  5   5  5
三菱自動車岡崎 2    75 27.360 20  0   3  4
三菱自動車川崎 5   158 56.354 53 19   5  7
松下電器    5   155 54.348 38  5   4 13
沖縄電力    2    70 24.343 16  2   2  3
神戸製鋼    4   120 41.342 25  3  13  6
住友金属鹿島  5   167 57.341 41  5  12 12
鷺宮製作所   6   212 71.335 40 10  12  7
日産自動車   3    86 28.325 30  6   6 16
三菱自動車京都 5   160 52.325 26  5  12 13
三菱重工長崎  3   109 35.321 27  9   9  2
東京ガス    4   133 42.316 22  1   6  7
西濃運輸    2    70 22.314 15  6   6  0
新日鉄君津   4   142 44.310 22  4   9  4
シダックス   5   176 53.301 38 13   6  6
富士重工業   3    94 28.298 21  8   5  3
北銀クラブ   3    89 26.292 15  3   9  0
川崎製鉄水島  5   175 51.291 34  9  13  3
三菱重工広島  3    94 26.277 17  8   3  5
JR九州    6   208 57.274 37  7   9  1
トヨタ自動車  2    61  9.148  3  1   2  0
 ※打率順

(毎日新聞2000年7月20日東京朝刊から)

☆indexに戻る☆